論証集は覚えないといけないか
よく聞かれる質問です。結論から申し上げますと,市販の論証集を覚える必要はありません。
理由は主なものとして2つあります。1つ目は,論証集を覚えても,どのような場面で活用すべきかわかっていないと,採点する側から見れば,知っている論証を吐き出しただけだとわかるからです。2つ目は,副検事選考や簡易裁判所判事選考では,基本的な論点を聞かれることが多いので,基本を理解していれば,答案を書くことができるからです。
規範は全く覚えなくていいのか
そういうわけではありません。多少は覚える必要があります。しかし,過去問の勉強をしているうちにどのような論点を聞かれることが多いかとか,どのように答えれば良いかわかるようになっていくので,自然と覚えられます。
ですから,多少の規範は覚える必要はありますが,長いものでなくてもいいですし,一言で説明のつくものは,そのほうがむしろ印象が良くなります。
試験に合格するための近道はあるか
ずばり,基本書と過去問をやればいいです。過去問は,10年分くらいやっておけばよいでしょう。
基本書というのは,一般的に学者などの専門家が書いた本が中心となります。できるだけ目次の詳しく論点も網羅されている本が良いと思います。
私なら,憲法は,「憲法」芦部信喜著,高橋和之改訂(岩波書店)
民法は,「民法1,2」我妻栄ほか3名(勁草書房)
いわゆる「ダットサン」と呼ばれていて,昔の司法試験受験生が使っていました。
最近の受験に適した本を知るためにいろいろ書店で見ましたが,この本が一番割安で使いやすいです。
図表が少ないのが難点ですが,二色刷なので読みやすいと思います。
刑法は,「刑法総論講義」「刑法各論講義」前田雅英著(東京大学出版会)
刑事訴訟法は,「刑事訴訟法講義案」(四訂補訂版)(司法協会)
検察庁法は,「七訂検察庁法」(法務総合研究所編)
検察庁法については,インターネットで検索すれば,教材の全てのページをダウンロードできます。ただし,巻末の検察庁法の条文については,改正前のものなので,新しい条文をダウンロードして貼り付けるなどしておきましょう。
検察事務官の方であれば,基本的には,「研修教材」で十分です。民法は,市販の基本書を使った方がいいと思います。
基本書と過去問だけで本当に合格できるのか
「はい,合格できます。」と断言します。仮に市販の司法試験(予備試験も含む)の問題集を使うときは,基礎問題だけをやればいいです。むしろ,基本的な論点を聞かれますし,刑事訴訟法においては,実務的な問題(例:勾留請求の可否について,条文などを挙げて論じる問題)が出題されます。
ですから,基本書と過去問をしっかり勉強した人が早く合格できます。
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